4回目


薬剤量が増えていくことが不安になるかもしれません。
だんだんと薬の量を増やしていくのは、標準量まで持っていこうとしているためです。
飲み始めに多い吐き気などの副作用に注意しながら、少量から始めて少しずつ服用量を増やしていきます。病気が悪くなっているのではありません。
悪心、嘔気などの消化器症状は、嘔吐中枢の5-HT3受容体刺激によるものです。
投与初期に一過性に現れることが多い症状です。処置をしなくても消失する場合がほとんどですが、これによって服薬を中止してしまう人もいます。また、通院をやめてしまう人もいます。
ですから、できるだけ少ない量から開始し、その後も副作用の発現に注意しながら段階的に増量し、効果が現れるまで充分に増量することが普通です。
必要に応じて、制吐剤を使用することもあります。
うつ状態の場合には、食欲不振となっている場合が多いですから、胃薬を併用することは合理的です。
投与初期に発現する副作用は、SSRIの作用を実感できない時期に発現するため、患者さんは「副作用が強く、効果が少ない薬」という印象を持つことがあります。
副作用は最初の2〜3日から一週間がピークで、効果そのものは、2週間以降くらいに出てきます。
この差をよく理解して、自己判断で服薬を中止しないようにしましょう。
薬剤血中濃度が少なくても、当座は楽になりますが、体質を改善するためには、標準量まで上げて、それを一定に保つことが重要であると考えています。
薬に何を求めるかによるわけです。
一時的なリリーフでいいなら、低用量でいいと思いますが、長期的な見通しを持って対処するなら、標準量を維持してみることが得策でしょう。
このあたりは、人生観や価値観とも関係しますので、お考えを聞かせてください。
また、医学の現状もお話します。